福島県産白河石、手加工での外柵の作り替え。お墓を磨き直して新品同様にきれいに。東京都新宿区のお寺様墓地にて

東京でお墓づくりをされたい方、またご先祖様のお墓の手直しや建て替えをされたい方のお手伝いをしております、一銀(かずぎん)石材の稲田圭二郎と申します。これから、こちらのブログにて、お手伝いさせていただいたお墓のことや、当店の情報などを発信して参ります。よろしくお願いいたします!

初回の今回は、東京都新宿区のお寺様墓地にて、福島県産白河石 手加工での外柵の作り替え、お墓の磨き直し等を行った際の様子をご紹介します!

【施工前後の様子】

 

今回はお寺様のご紹介でお話しをいただきました。お墓の外柵が古くなって風化してしまい、崩れてきているので新しくしたいというご相談でした。ご連絡をいただいた際にすぐ近くにおりましたので、現場へ直行しました!

 

こちらがご相談いただいたお墓です。ご心配されていた外柵は、福島県産白河石と栃木県産大谷石を使用して作られていました。お墓本体は昭和8年に建てられたお墓で、80数年経っていました。お客様のおっしゃっていた通り、外柵の入り口部分の柱などは欠けている部分も見られ、ずいぶん劣化が進んでいました。

 

正面からの写真です。入り口右手にあるのは根府川(ねぶかわ)石の墓石で、このお墓本体よりも古くからご先祖様が大切にしてこられたものです。お客様もとても大切にしていらっしゃいましたので、今回このお墓は、多少手を加えてこのまま残すことになりました。

 

お墓本体は、茨城県産真壁の青の小目石で作られていました。80数年経っていることを考えるときれいにお参りされているお墓ですが、水垢などの汚れが気になるということでした。これについては石をきれいに切削して磨き直し、新品同様にきれいにすることになりました。

 

水鉢と線香立てです。こちらについては汚れではなくサビが出てしまっているため、磨いても他の部分との差が出て、どうしても違和感が出てしまいます。お客様とお話しして、こちらについては交換することになりました。

今回はお客様のご希望に沿って、お墓本体の切削・磨き直しと水鉢・線香立ての交換、外柵の作り替えをさせていただくことになりました。外柵に手加工の福島県産白河石を使用することになったのも、お客様の強いご希望でした。他の石でもお作りできますよというお話しもしましたが、周りにあった当店で作らせていただいた手加工の白河石をご覧になって、気に入ってくださったようでした。

それでは、工事に入ります!

 

一度お墓本体をすべて取り外し、床掘りをして基礎工事の準備をしています。古くからある根府川石のお墓を据える位置を調整しているところです。

 

今回この根府川石のお墓は、お墓の基礎部分に下部を埋め込んで、倒れたりしないようしっかりと据えることにしました。据える位置を決めて、仮設置しています。このあと、垂直になるよう気をつけて調整しながら、木枠の中にコンクリートを流し込んでいきます。

 

コンクリートを流し込み、養生して基礎工事完了です。根府川石のお墓は、このように基礎の中にしっかりと埋め込まれています。印の部分はお墓のカロートになる部分ですのでコンクリートを打たずに土を残した状態にしています。このあと外柵の根石を据えますが、当店ではそこからさらに地下カロートの深さを調整しながら掘り下げます。

お墓本体の磨き直しは、一旦工場に持ち帰っての作業になります。表面全体を切削して磨き直していきますが、棹石正面は文字彫刻の部分を含めて他より少し多めに切削して磨き直し、再彫刻しました。

そうやって磨き直したお墓本体と、新しくなった外柵を据えて、完成となります。

 

完成です!

今回、中心となるお墓本体が、入り口からちょうど正面に来るように配置することをご提案しました。そのため、大切にされている根府川石の墓石は敷地の右寄りに、位置を調整しながら残しました。全体的なバランスもとても良くなったと思います。

 

この古いお墓は、根元の方が細く上に行くほど厚みがあるという形でしたので、全体を薄く削って据え直すという方法もあったのですが、お客様がそのままの形で残すことを強くご希望でしたので、据える位置や角度を工夫して残すことができました。

 

お墓本体です。すべて磨き直して、新品同然の輝きを取り戻しました!

一番下の台の芝台は、今回新しいものに交換しました。本体と同じ茨城県産真壁小目石で作成しています。解体の際に気付いたのですが、以前のものは石の乗っている部分も少なく強度的にも不安があったのでこの機会に新しくしました。水鉢と線香立ても新しいものに交換しています。

古くからあったお墓の他の部分が新品同様にきれいになったので、新しい芝台も水鉢等も違和感を感じさせません^^

 

白河石の外柵です。上に乗っている部分は「ビシャンなまこ仕上げ」で、下の小柱は「小たたき仕上げ」となっています。すべて、当店の小平の工房で手作りしたものです。すべて手加工ですので、この外柵だけでもすべて作り終えるのに2ヶ月くらいかかりますが、ひとつひとつ丁寧に、心をこめて作成しています。

(当店のこだわりの手加工のようすや仕上げについては、こちらをごらんください→ 「こだわり手加工」)

 

完成した様子をご覧になったお客様は、こんなお言葉を寄せてくださいました。

「先日はありがとうございました。本墓地は私の曽祖父の代に建立され約100年経過し、お参りに行く度に墓石の汚れ、外柵の損傷が目立つようになり気にかけていましたが、この度一銀石材の稲田代表様と知り合う機会があり改修工事の相談の上、数々のご提案を頂きながらお任せで工事を依頼しました。
事前に一銀様の経歴並びに実際の作品を見ることができて私も納得し、安心と期待を掛けながら工事完成を待ち望んでおりました。
実際に完成したお墓を目の当たりにすると、私がお願いした先代建立時の墓石が新しく磨き上げ、隅々までディテールにこだわり手作業で見事に納めて頂き、想像以上の仕上がりの良さと数々の心配りを頂きまして、家族共々大変感謝しております。我が家の先祖も喜んでいることでしょう。今後も引き続き責任を持って墓守に努めて参ります。」

丁寧なお言葉を寄せてくださり、本当にありがとうございます!

最初にお見積もりを差し上げたのは5月ごろでしたが、その後諸事情で思うように作業ができない状態が続いた際も、お客様は根気強く待ってくださいました。ご迷惑とご心配をおかけして申し訳ありませんでした。お待ちくださったことがとてもありがたかったです。また、このたびは大切なご先祖様からのお墓の改修をお任せくださって、本当にありがとうございました。ご先祖様にもご家族様にも、喜んでいただけておりましたら何よりうれしく思います。今後も、ご先祖様からのお墓をとても大切に守っておられるお客様のお手伝いができればと思っております。何かお困りの際はどうぞお気軽にお声かけください。