岡山県産万成石を使った、ノミ切り仕上げの古代型五輪塔が完成しました!

東京都一円にて、お墓づくりをはじめ、お墓の様々なご要望にご対応しております、一銀(かずぎん)石材の稲田圭二郎と申します。岡山県産万成石を使った、ノミ切り仕上げの古代型五輪塔が完成しましたのでご紹介します!

万成石 古代型五輪塔 ノミ切り仕上げ

以前からたびたび、手仕事を極める修行も兼ねた自分の趣味のような形で、本小松石の古代型五輪塔や金胎寺形宝篋印塔など、手加工品の製作を行ってきました。今回も特別にご注文をいただいたわけではありませんが、岡山県産の万成石で古代型五輪塔の製作に取り組みました。万成石は、優しい上品な桜色が特徴の御影石です。

まずは、動画で手加工の様子をご覧ください!!

【万成石 古代型五輪塔 制作のようす】

こちらの動画は、五輪塔の一番下の芝台を加工しているようすです。丸みのある部分を加工しています。今回の五輪塔は、すべてノミ切り仕上げとなっています。「ノミ切り」は表面の仕上げ方法のことで、ノミで突いて石の表面を整えていくものです。

 

動画前半は、「グンデラ」という道具を使っています。「グンデラ」は石の表面を整える道具で、角の部分の細かい加工をします。ノミよりも繊細な部分に使います。

 

動画15秒あたりでノミに持ち替えて加工を進めています。グンデラで仕上げをした角ギリギリのところまではノミ切りです。

 

芝台が完成しました。これまで製作した五輪塔では、丸みのある曲線の部分に花びらの加工をした「返花座(かえりばなざ)」で製作したものが多いですが、今回はこの五輪塔を気に入って下さっているご住職様がシンプルな方がいいとおっしゃっていたので、このままの形で仕上げを行いました。

 

万成石を使用した、古代型の五輪塔の完成です。五輪塔は上から順に、空輪、風輪、火輪、水輪、地輪の五つの部材で成り立っています。古代型五輪塔は、空風輪が大きいのが特徴です。高さは約1m40cm、丸い玉の部分が幅約45cmと、大きく重厚感のある五輪塔です。すべて手加工で、普段の仕事を終えてからなど合間を縫って、半年くらいかけて完成しました!

「ノミ切り仕上げ」は、ノミのひと突きひと突きでめくり上げていくような形の加工方法です。同じ表面加工の「ビシャン仕上げ」がザラザラした質感なのに対して、「ノミ切り仕上げ」はより粗く角を出しているため、手で触ると少しゴツゴツした感触です。目標は、荒々しさの中にも、硬い石が柔らかく見えるような美しい仕上がりです。現代のような豊富な道具もなかった、今から約800年前の鎌倉時代に作られた五輪塔の美しさが理想です。

 

少し水をかけて、雨が降ったときのイメージで風合いを確認しました。万成石の桜色が少し濃く見えます。磨いて仕上げた時の色合いに近くなります。晴れた日や雨の日、夕日が当たるときなど、風合いや色合いが少しずつ違うので、表情の変化を感じる楽しみがあるのも手加工の良いところです^^

半年かけて完成した五輪塔ですが、気に入って下さっている方もいらっしゃるので、いずれは旅立っていくと思います。それを思うと少し寂しいですが、それまでは工房で毎日眺めて楽しみたいと思います^^

こだわり手加工のようすについては、こちらもご覧ください>>こだわりの手加工「石工一銀」